PKSHAグループと内田洋行、こども家庭庁の実証事業として埼玉県戸田市のこどもの不登校をAIで予測する取組みに参画 ービジネス領域で培ったAI技術を「社会課題解決」へ展開開始
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AIによる事前予測で不登校の予兆を発見し、教職員の気づきとこどもへの働きかけを支援
株式会社PKSHA Technology(代表取締役:上野山 勝也、以下PKSHA)は、合弁会社である株式会社アルゴノート(代表取締役:佐野長紀、以下アルゴノート)が、株式会社内田洋行(代表取締役社長:大久保 昇、以下内田洋行)と連携し、こども家庭庁が実施する「こどもデータ連携実証事業(※1)」において、採択された戸田市と共にパートナーとして参画していることをお知らせします。本取組みは2023年11月に戸田市内のパイロット校での試行をスタートし、12月より18校の小中学校へ展開しているところです。
PKSHAグループは「人とソフトウエアの共進化」というビジョンのもと、ビジネス領域で培ったAIに関する知見・実績を社会課題の解決に向け拡張し、より良い社会を実現するソフトウエアの社会実装を加速させてまいります。
- 実証研究の概要:自治体・教育事業・AIの強みを生かし官民連携でこどもデータを一元化、不登校の予防へ
今回の実証研究には、2023年7月から教育の分野で豊富な実績を持つ内田洋行が戸田市の連携事業者として参画し、AIの社会実装に実績を持つPKSHAグループは内田洋行のパートナーとして協働、教育現場の状況を踏まえた精度の高いデータ分析とAIの教育現場への実装に取組んでいます。近い将来に不登校になる可能性を予測してリスクスコアとして表示し、予兆検知モデルを構築することを目指しています。実際の予兆検知モデルの構築には、教育の有識者からヒアリングをして意見を取り入れながら校務支援システムに登録されている「出欠・遅刻・早退などの状況」「保健室利用状況」などのデータのほか、「埼玉県学力・学習状況調査(学力調査・質問紙調査)」「学校生活に係るアンケート」「教育相談の利用の有無」「学校健診結果」等のデータを用いています。
内田洋行との協力のもと、AI不正検知システム「PKSHA Security」等を構成するPKSHAアルゴリズムモジュール(※2)の活用を通じ、AIのアルゴリズムの設計と構築を進めてまいります。リスクスコアとあわせてその根拠となるデータ項目を表示することで、学校現場の教職員による具体的な支援活動に結びつけていくことを検討しています。
■PKSHAアルゴリズムモジュールの活用イメージ
PKSHAグループのアルゴノートが主体となり取組むデータ分析のフェーズにおいては、①データ項目の選定、②モデルの構築、③モデルの検証という3ステップで予兆を検知するモデルを構築します。個人情報を保護した上で複数のデータを集約し分析することで、リスクと、根拠となる項目を重要度順に可視化します。AIの予測結果に説明性を備えることで、教職員の判断や行動を支援し、本質的な課題解決を目指します。
さらに、教職員の新たな気づきからAIのアルゴリズムを改善することを通じ、人とソフトウエアが共に進化するモデルの実現を目指します。
■個人情報に配慮したデータの集約・分析と活用について
戸田市が保持しているこどもに関する様々なデータを、個人情報保護法に基づき連携するほか、戸田市が2022年12月に独自に策定した「教育データの利活用に関するガイドライン」を遵守した上で取組み、児童生徒や保護者に対する丁寧な説明を行いながらデータベースを活用するなど、個人の安心を担保できる形に整備した上でデータ活用を行います。
- 開発背景:こどもを取り巻く根深い課題の予兆を検知する仕組みを構築
近年、児童虐待、いじめ、不登校、ヤングケアラー等、こどもを取り巻く問題が深刻化し、相談窓口等の設置だけでは解決できないケースも多く、また、こども自身がSOSを発信することが難しい実情があることから、予兆を検知した上で能動的に支援するプッシュ型支援の実現が喫緊の課題となっています。その一つの解決策として、AIを活用した予兆検知モデルは、プッシュ型支援の一助になるのではないかと注目されています。
戸田市教育委員会は、GIGAスクール構想以前の早い段階から学習者用端末の導入を進めるなど、学校のICT環境整備に力を入れてきました。また、約100の企業やNPO、大学、研究機関と連携し、プログラミング教育やデジタルシティズンシップ教育の推進、不登校支援やインクルーシブ教育の充実など先進的な教育改革に取り組んでいます。こどもデータ連携では、2022年度に開始したデジタル庁「こどもに関する各種データの連携による支援実証事業」に採択されました。学校や教育委員会、そして各地方自治体が部署ごとに保有する教育・保育・福祉・医療などのデータを、個人情報の保護や倫理面での配慮を行いつつ分野横断的に連携し、可視化することで真に支援が必要なこどもの発見、プッシュ型の支援を目指した教育総合データベースの整備を進めており、「誰一人取り残されない教育の実現」というビジョンを掲げています。
- 今後の展望:データ・AIの活用でこどもを見守る環境を整備、AI技術の社会課題活用を加速
今後、長期的に予測を継続して行う事で、複数年データの利用や、データ項目拡張、日次のアンケートなど鮮度の高いデータの利用などに取組み、不登校の予兆検知モデルの精度改善につとめていきます。今後、いじめなどのSOSの検知に取り組むことを検討しています。
また、今回の実証研究を通して、AIの社会実装に関する知見のもと設計されたPKSHAアルゴリズムモジュールを教育現場の支援AIに活用することで、教職員がこどもたち一人ひとりの見守りを行える環境づくりへ繋げ、全国の自治体が活用できるモデルの実現を目指します。
◆PKSHAアルゴリズムモジュールの社会課題解決に向けた活用について
PKSHAグループは、PKSHAアルゴリズムモジュールの対応領域をビジネス領域から生活する人々の便益につなげるべく、研究・開発及び社会実装を積極的に行ってまいります。本取組みに加え、対話をするAIによる教育分野での学習支援や、孤立支援、社会の声の見える化等に関して研究や実装が進んでいます。生活者一人ひとりのプライバシーに十分な配慮をし、セキュリティも担保しながら研究を進めることで、ソーシャルグッド支援の文脈においてもAIの活用が活発になり、未来のソフトウエアによってより良い社会を実現することを目指しています。
※1「こどもデータ連携実証事業」https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo-data/
※2 PKSHAアルゴリズムモジュール:PKSHAグループにおいて研究開発を行う「PKSHA Research」によって開発されたアルゴリズムの集合体であり、同社のAI SaaS/Solutionを構成しています。
◆内田洋行代表取締役社長大久保昇氏のコメント
内田洋行は、PKSHAグループ様とのAI技術を活用した不登校予兆モデルの開発のための実証研究を心より歓迎いたします。AI分析によって根拠となるデータ項目を表示することで、学校と教職員への様々な後押しとなる支援ができることを期待しております。今後もPKSHAグループとともに、教育データを子どもたちのために正しく安全に活用できるような仕組みづくりを内田洋行は構築し、最先端な技術を通じて豊かな社会づくりに貢献していきたいと考えております。
◆戸田市について
団体名 :埼玉県戸田市
代表者 :市長 菅原 文仁
URL:https://www.city.toda.saitama.jp/
◆内田洋行について
会社名 :株式会社内田洋行
本社所在地:東京都中央区新川2丁目4番7号
代表者 :代表取締役社長 大久保 昇
URL:https://www.uchida.co.jp/
◆AlgoNaut(アルゴノート)について
AlgoNautは、東京海上ホールディングスとPKSHA Technologyが両社の経営資源を最大限に生かすために設立した合弁会社です。 東京海上グループ各社が積み上げてきたリスクデータやリスク予防ノウハウと、 PKSHAが自社開発した機械学習・深層学習領域のアルゴリズムを用いて お客様や社会を取り巻くリスクに対応するソリューション事業を企画・開発を行っています。
会社名:株式会社AlgoNaut
代表者:代表取締役 佐野 長紀
所在地:東京都文京区本郷 2-35-10 本郷瀬川ビル 4 階
URL:https://www.algonaut.co.jp/
◆PKSHA Technologyについて
「未来のソフトウエアを形にする」をミッションに、企業と人の未来の関係性を創るべく自社開発した機械学習/深層学習領域のアルゴリズムを用いたAIソリューションの開発・AI SaaSの提供を行っています。自然言語処理技術を用いた自動応答や、画像/動画認識、予測モデルなど多岐に渡る技術をベースに顧客の課題にあわせた解決策を提供する他、共通課題を解決するAI SaaSの展開により、ソフトウエアの社会実装を多面的に支援し、人とソフトウエアが共に進化する豊かな社会を目指します。
会社名:株式会社PKSHA Technology
所在地:東京都文京区本郷 2-35-10 本郷瀬川ビル 4F
代表者:代表取締役 上野山 勝也
URL: https://www.pkshatech.com/